パデルのペアに実力差がある|一緒に楽しむための役割分担

パデルは2人対2人なので、一緒に始めた相手との実力差が気になることがあります。

自分は何度か経験しているけれど相手は初めて。

テニス経験者とラケットスポーツ未経験者。

夫婦や親子で体力にも差がある。

こうした組み合わせでも一緒にプレーできます。

ただし、上手い人がすべてのボールを取ってしまうと、初心者はほとんど打てません。

反対に、実力差を気にして初心者へ全部任せると、ゲームが続きにくくなります。

一緒に楽しむなら、「上手い人が多く取る」ではなく、「初心者が打てるボールと、経験者が助けるボールを分ける」と考えるのが分かりやすいでしょう。

実力差があってもペアを組めないわけではない

パデルは、初心者から経験者まで一緒に楽しみやすいラケットスポーツです。

ラケットが扱いやすく、基本は2人でコートの半分ずつを守ります。

そのため、実力が同じ2人でなければゲームにならないわけではありません。

ただし、パデルはダブルスなので、一人の動きがもう一人にも影響します。

片方だけ前へ出る。

初心者のボールまで経験者が横取りする。

中央のボールで2人とも止まる。

こうした状態になると、実力差そのものより「誰が何をするか決まっていないこと」の方がプレーしにくさにつながります。

まず、2人の役割を簡単に決めておきます。

最初はコートを半分ずつ担当する

初心者と経験者で組むと、経験者は「自分が取った方が確実」と感じます。

しかし、自分のサイドから反対側まで毎回取りに行く必要はありません。

初心者には、まず自分側へ来た普通のボールを任せます。

右側に立つなら右側。

左側なら左側。

経験者も基本的には自分側を担当します。

これなら初心者にも毎回ボールを打つ機会があります。

最初から細かな戦術を決めるより、「まず自分の半分を守る」という形の方が分かりやすいでしょう。

経験者が助けるのは「難しい球」に絞る

実力差が大きい場合、完全に半分ずつでは難しい場面もあります。

そこで経験者が助ける範囲を決めます。

たとえば、

2人の真ん中へ高く上がったロブ。

初心者が届かない頭上のボール。

壁から複雑に戻ってくるボール。

どちらが取るか迷いやすい中央の球。

こうしたボールは、経験者が多めに担当できます。

一方、初心者の正面へ来た普通のボールまで取りに行かない。

この線引きが重要です。

「難しいところは助ける。でも打てるところは任せる」とすれば、ラリーも続けながら初心者の出番を残せます。

真ん中のボールだけは先に決めておく

実力差のあるペアで一番迷いやすいのが中央です。

右と左の間へボールが来ると、

「自分が取るのかな」

「上手い人が取ってくれるかな」

と考えている間に抜けてしまいます。

反対に、2人とも取りに行けばラケットや身体が近づきます。

そこで中央だけは、

「高い中央球は経験者」

「低い球は近い方」

など、簡単な約束をしておきます。

完璧な戦術である必要はありません。

2人とも迷わない約束になっていることの方が大切です。

「上手い人は左、初心者は右」と固定しなくていい

パデルでは一般的に、右利き同士なら左側の選手が攻撃的な役割を担い、右側の選手が守備やポイントの組み立てを担当する考え方があります。

だからといって、初心者を自動的に右へ置けばよいわけではありません。

右側にも守備、ボレー、配球などの判断があります。

初心者本人が左側の方がボールを打ちやすい場合もあります。

左利きがいる場合も事情が変わります。

最初は、

フォアハンドで打ちやすい。

壁が見やすい。

その位置の方が怖くない。

という感覚を優先して構いません。

何度かプレーしてから左右を固定しても遅くありません。

経験者は決め球より「返しやすい球」を作る

一緒に楽しむことが目的なら、経験者の役割はポイントを全部決めることではありません。

相手の強いボールを一度安全に返す。

ロブを上げて時間を作る。

初心者が次のボールを打ちやすい位置へ戻す。

こうした役割があります。

経験者が毎回スマッシュやボレーでポイントを終わらせれば、初心者が参加する時間は短くなります。

少し速度を落とし、ラリーを続ける。

初心者にも次の一球が来るようなプレーを選ぶ。

勝敗より一緒に楽しむなら、この方がペアとしては機能します。

経験者は「どこに立つか」を声で助ける

初心者が困りやすいのは、ボールの打ち方だけではありません。

どこに立てばよいか分からなくなります。

そこで経験者は、

「前へ行こう」

「下がろう」

「壁まで待って」

「自分が取る」

「お願い」

と短い言葉で伝えます。

長い説明をラリー中にする必要はありません。

パデルは、2人が一緒にネットへ出たり、一緒に後ろへ下がったりすることが基本です。

経験者が先に動いて、初心者がそれに合わせられるよう声を掛けるだけでも動きやすくなります。

初心者は「返す役」だけに固定しない

実力差があると、

初心者はとにかく返す。

経験者が最後に決める。

という役割になりがちです。

勝負だけ考えれば有効な場面もあります。

しかし、毎回それでは初心者は攻撃を覚える機会がありません。

相手から短いボールが来た。

ネット前で簡単なボレーができる。

高すぎないボールが来た。

こうした場面なら初心者にも打ってもらいます。

ミスしても構いません。

遊びや練習なら、「初心者だから守備だけ」と固定しない方が、できることが増えていきます。

経験者が全部の中央球を取るのも考えもの

競技レベルでは、得意な選手が中央の広い範囲をカバーする戦術があります。

しかし、初心者とのレクリエーションで同じことをすると、初心者は自分の担当範囲が分からなくなります。

「真ん中は全部取ってくれる」と思うようになると、経験者が取れないときにも動けません。

そのため最初は、

明らかに経験者側なら経験者。

明らかに初心者側なら初心者。

本当に迷う中央球だけ経験者。

くらいに分けてもよいでしょう。

初心者が上達したら、少しずつ中央の範囲も広げます。

実力差があるときほど2人で前後をそろえる

経験者はネットへ出るタイミングが分かっていても、初心者は後ろに残ってしまうことがあります。

すると1人が前、1人が後ろになり、2人の間に大きな空間ができます。

逆も同じです。

経験者がロブを追って後ろへ下がったのに、初心者だけネット前へ残ると守りにくくなります。

そこで実力差があるときほど、

前へ行くなら2人。

下がるなら2人。

を優先します。

経験者だけが最適な位置へ動くより、多少遅くても2人の位置をそろえた方が、初心者には動きが理解しやすくなります。

ミスのあとに毎回指導しない

経験者と初心者でプレーすると、経験者は直すところがたくさん見えます。

「今のは壁まで待った方がいい」

「もっと前に出た方がいい」

「ラケットをこう持って」

と毎回説明したくなるかもしれません。

しかし、全部のミスに助言するとゲームよりレッスンのようになります。

一緒に楽しむなら、その日に直すことを一つか二つに絞った方がよいでしょう。

今日は「2人で前へ出る」。

次は「壁まで待つ」。

という程度です。

技術を本格的に直したいなら、ゲーム中ではなく休憩中やスクールで確認できます。

初心者側も「全部任せる」必要はない

経験者と組む初心者側も、

「下手だから迷惑をかけないように全部任せよう」

と考える必要はありません。

パデルは2人でプレーする競技です。

自分側へ来たボールはまず打ってみる。

取るつもりなら「自分」と声を出す。

難しいと思ったら「お願い」と伝える。

これだけでも経験者は動きやすくなります。

技術差があっても、意思表示ができれば役割分担はかなり明確になります。

相手が初心者側ばかり狙ってきたらどうする?

ゲームでは、実力の低い選手へボールが集まることがあります。

大会など勝敗を競う場では、相手の弱点を狙うこと自体は戦術の一つです。

このとき経験者が初心者側へ入り込み、すべて横取りすると、かえって2人の位置が崩れます。

まずは初心者が返しやすい位置へ2人で戻る。

経験者は中央や頭上の難しいボールを助ける。

初心者は強く返そうとせず、まず相手コートへ戻す。

この形で対応します。

それでも一方だけにボールが集まり続けるなら、レクリエーションではペアを入れ替える方法もあります。

勝敗より4人で楽しむことが目的なら、毎セット同じ組み合わせにこだわる必要はありません。

遊びならペアを途中で入れ替えてもいい

4人の中で1人だけ経験者という場合、固定ペアにすると実力差が大きくなることがあります。

その場合は1セットや数ゲームごとにペアを入れ替えれば、全員が違う人と組めます。

初心者同士だけの時間。

経験者と初心者のペア。

別の組み合わせ。

と変えれば、誰か一人だけがずっと教える側・教わる側になるのを避けられます。

これは公式大会の話ではなく、仲間同士の練習や遊びの場合です。

楽しむ目的なら、正式な試合形式にこだわり過ぎなくても構いません。

実力差が大きすぎるなら役割分担だけでは解決しない

役割を決めても、どうしてもゲームが続かない場合があります。

初心者がまだサーブを入れられない。

経験者が普通に打つと初心者が触れない。

経験者がほとんどのボールを取らないとポイントが終わる。

この状態なら、ペアの役割だけで調整する段階ではないかもしれません。

一度初心者向け体験やスクールで基本を練習する。

経験者は別の時間に自分のレベルのゲームへ参加する。

そのうえで、一緒に遊ぶ時間も作る。

という分け方ができます。

「いつも一緒にプレーする」ことと「いつも同じ練習をする」ことは同じではありません。

勝ちたいペアなら役割は少し変わる

大会などで勝つことが目的になれば、役割の考え方は変わります。

一般的には、左側の選手が攻撃的なショットや頭上のボールを多く担当し、右側の選手が守備やポイントの組み立てを担当する形があります。

その場合は、

どちらが空中のボールに強いか。

どちらがミスなく返し続けられるか。

どちらが中央を広くカバーできるか。

利き手はどちらか。

を考えて配置します。

つまり、「一緒に楽しむペア」と「試合で勝つためのペア」は、同じ役割分担である必要はありません。

一緒に楽しむなら上手い人の仕事は「全部取ること」ではない

実力差のあるペアで、経験者が一番やりやすいのは全部自分で処理することかもしれません。

しかし、それでは初心者は上達しにくく、パデルを一緒にしている感覚も薄くなります。

初心者が普通に打てるボールは任せる。

中央や難しいロブは経験者が助ける。

2人の位置を声でそろえる。

ポイントをすぐ終わらせず、ラリーを作る。

初心者にも攻撃する場面を残す。

この程度の役割分担で十分です。

実力差をなくしてから一緒にプレーする必要はありません。

差があることを前提に、「どこまで任せて、どこから助けるか」を2人で決める。

それが、実力の違うペアが一緒にパデルを楽しみ続けるための一番実用的な考え方です。

出典

日本パデル協会|パデルを知る

Babolat|パデルのルール:初心者向け完全

Babolat|パデルテクニック完全ガイド:上達のための基本ショット

HEAD|Padel tactics to improve your game
日本語:パデルの左右の役割・初心者向け戦術を解説した資料

HEAD|How to communicate in padel
日本語:パデルのペア間コミュニケーションを解説した資料

Padel Asia|スクール紹介

PADEL DOJO|ACADEMY